猛暑の次にやってくる「冬の試練」
2025年の夏は観測史上最高レベルの猛暑が続き、冷房による電気使用量が急増しました。
しかし、家計を直撃するのは夏だけではありません。秋から冬にかけては、暖房や給湯によるエネルギー消費が一気に増えます。
さらに、政府が2024年度まで実施していた「電気・ガス料金抑制策」が終了し、今年の冬は多くの家庭で実質的な値上げが予想されます。
1. 値上げの背景──政府支援の終了と燃料費の変動
政府の支援策がなくなる影響
2022年から続くエネルギー価格高騰を受け、日本政府は電気・都市ガス料金の負担軽減策を実施してきました。
しかし、2025年度からはこの支援が段階的に縮小・終了し、従来の料金体系に戻ります。
平均的な家庭では、電気代は月1,500〜2,000円程度、都市ガス代は月800〜1,200円程度の増加が見込まれます。
燃料費調整制度による変動
電気・ガス料金は、LNG(液化天然ガス)や原油の輸入価格に連動します。
中東情勢の不安定化や為替レートの円安傾向が続けば、燃料費は上昇し、これが直接料金に反映されます。
2. 冬場の需要増と料金への影響
暖房需要のピーク
冬季は暖房による電気消費が大きく、特にエアコンや電気ヒーターを多用する家庭では夏の冷房以上の負担になります。
北海道や東北など寒冷地では、灯油や都市ガスの使用量も増え、年間エネルギーコストの約4割が冬に集中するとも言われます。
寒波リスク
ラニーニャ現象や偏西風の蛇行によって寒波が発生すれば、需要は急増し、スポット市場の電力価格が跳ね上がる可能性があります。
過去にも、寒波到来時に一時的な電力逼迫警報が発令され、料金の一時高騰が起きた事例があります。
3. 家計への実質的な影響額の試算
総務省の家計調査によれば、2人以上世帯の平均的な光熱・水道費は年間約26万円。
政府支援終了と燃料費上昇を踏まえると、2025年冬は前年より年額で2万〜3万円の負担増となる可能性があります。
試算例(都市ガス+電気併用世帯)
- 電気代:月1,500円増 × 4か月 = 6,000円
- ガス代:月1,000円増 × 4か月 = 4,000円
- 燃料費高騰による追加負担:年1〜1.5万円
→ 合計:約2.0〜2.5万円の増加
4. 節約と対策──無理のない暖房利用へ
省エネ機器の活用
- エアコンのフィルター掃除で消費電力5〜10%削減
- 断熱カーテン・窓フィルムで暖房効率アップ
- ガス給湯器は設定温度を1〜2℃下げるだけで数%の節約効果
契約プランの見直し
電力会社・ガス会社の料金プランを比較すると、年間数千〜1万円以上安くなる場合があります。
特にオール電化住宅では、夜間料金の安いプランに切り替える効果が大きいです。
5. 中長期的な視点──家庭のエネルギー自給へ
太陽光発電や家庭用蓄電池は初期費用が高いものの、長期的な電気代削減と停電時の安心につながります。
自治体によっては補助金や固定価格買取制度(FIT/FIP)が利用可能です。
まとめ
- 政府支援終了+燃料費上昇で、2025年冬は光熱費が前年より2〜3万円増になる可能性
- 寒波や円安が重なればさらに負担増
- 短期的には省エネとプラン見直し、中長期的には再エネ導入も視野に
家計の備えは、冬が来る前に始めるのが最も効果的です。