日本の政治家は「年寄りすぎる」のか?

国会議員の平均年齢を見てみると、日本は世界の中でも高い水準にあります。2025年時点で衆議院議員の平均年齢は約54歳、参議院議員は約57歳と報告されており、主要閣僚ポストに至っては60代が中心です。アメリカも高齢政治家が多い国として知られますが、日本では世代交代がさらに遅れているとの指摘が絶えません。
実際、首相経験者の顔ぶれを振り返ると、70代後半で首相に就任したケースも多く、高齢化社会の象徴のように映ります。これに対し、若者世代からは「時代の変化に対応できない政治が続くのではないか」という懸念が広がっています。

世界には「若すぎるリーダー」も存在する

一方で、世界の舞台には“若すぎる”と評されるリーダーも存在します。

  • フィンランドでは、2019年にサンナ・マリン首相が34歳で就任
  • チリでは、2021年にガブリエル・ボリッチ大統領が35歳で誕生
  • フランスのマクロン大統領も39歳で大統領に選出

こうした国々では、若いリーダーの登場が社会に新しい風を吹き込み、政策にスピード感を与える一方で、「経験不足によるリスク」や「短期的な人気頼み」といった批判もつきまといます。つまり「若すぎる」ことにもまた課題があるのです。

年齢が政治に与える影響は本当に大きいのか?

リーダーの年齢は、政策の方向性に影響するのか。これは簡単に答えが出る問いではありません。
高齢政治家の強みは、豊富な人脈と交渉力、長期にわたる経験です。外交の現場では年齢が信頼につながることもあります。一方、若い政治家は新しい価値観を取り入れやすく、デジタル化や環境問題のような次世代課題に柔軟です。
問題は「どちらが良いか」ではなく、社会の多様性を反映した世代バランスが保たれているかどうかという点にあります。

日本に若い政治家はなぜ少ないのか?

日本では「若すぎる政治家」がなかなか育たない構造的要因があります。

  1. 選挙制度のハードル
     立候補には多額の供託金や選挙費用が必要で、資金力のある家系出身者や二世議員が有利。
  2. 政党内の年功序列
     若手議員が政策決定の中枢に入り込むには時間がかかる。
  3. 有権者の意識
     日本では「経験豊富な人ほど信頼できる」という文化的傾向が根強い。
    結果として、国会には50代以上の議員が多くを占め、30代の議員比率は一桁台にとどまっています。

「若すぎる国」と「年寄りすぎる国」の共通課題とは?

若い政治家がリーダーを務める国も、高齢政治家が牛耳る国も、それぞれに課題を抱えています。

  • 若すぎる国:経験不足、ポピュリズム、政治的持続力の欠如
  • 年寄りすぎる国:時代との乖離、意思決定の遅さ、世代交代の停滞

つまり、両極端の問題は「政治が社会の多様性を反映できていない」点に収斂します。人口構成に見合った代表性を持つ政治体制が、民主主義の健全性を支える基盤となるはずです。

日本の有権者はどのようなリーダー像を求めているのか?

世論調査をみると、日本の有権者が必ずしも「若さ」だけを求めているわけではないことが分かります。内閣支持率の調査では、年齢よりも「説明責任を果たす姿勢」や「政策遂行力」が重視される傾向が強いのです。
しかし同時に、「次世代を担うリーダーが見えない」という不安も広がっています。若い政治家が少ないことは、将来の担い手不足というリスクを示しているといえるでしょう。

これからの日本のリーダー像とは?

結論として、日本に必要なのは「若さ」か「年齢」かという単純な二分法ではなく、世代を超えて社会の多様性を反映できるリーダーです。

  • 高齢であっても柔軟に新しい課題に取り組めるリーダー
  • 若くても経験不足を補えるチームや仕組みを持つリーダー
  • 世代交代を円滑に進める政党内の制度改革

これらがそろって初めて、日本は「年寄りすぎる国」から脱却し、未来を見据えた政治を実現できるのではないでしょうか。